後に連絡の途絶える編集者が、これを売らないと先がない、というようなことを言ったとき、私は心の奥底で「じゃあもうやめようかな」と言った。
今の私の仕事は、サービスと表現の間でいつも揺れ動き、引き裂かれていると言ってもいい。
その編集者が決めた「先がなくなる」ポイントもある意味正しいのだろうが、私がそこから読み取ったのは、この企画に対するやる気がなくなってきていて、内心投げたいのだろうな(この時点で既にその編集者は一度消えて戻って来たところだった)ということで、せめてそれならそうと言うべきではないかと思いながら帰宅した。

しかし、サービスの部分を削ぎ落すと、私はコロナ禍の情勢にすっかりやられてしまい、自分が望んでいること、求めているもの、伝えたいこと、見たいものに暗いもやがかかったようになってしまった。
そもそも、私は社会的に大きな事件が起きると、その内容によっては気分が塞いでしまうタイプの人間だ。コロナ禍でも自分のやるべきことを粛々とやろう、と頭で考えたとしても、体も心もまったくついていけなかった。
はなからサービスできる余裕はなかったのだ。

私が今書いているのは、そういう暗くてやる気のなくなってしまった人の話だ。
2021/07/30(金) 記事URL