『ルックバック』
とにかく美しいアニメと控えめで良い演技の映画だった。
色彩や音楽の効果が大きくて、原作を読んだ時のビターさとか、あの時期だったからこそ自分も一緒に重々しく悲しみを感じた雰囲気はなく、恐ろしい事件も描かれて入るが、どちらかといえば青春の物語になっていた。ただ多分、印象に残っているのはそれでも原作の方。

『PERFECT DAYS』
良い映画だったが、見る側の認識でだいぶ誤解を生むなあと思った。
日本で生活している一般市民の私からすれば、市井の人の中でもとりわけたちのいいおじさんを描いたファンタジーで、あの生活をじっと見ていると楽しいけれど、果たしてトイレ掃除の仕事だけでこの生活が維持できるだろうかとすぐに疑問になってしまう。(毎晩の銭湯代、晩酌代やフイルムカメラの現像代等々)
後々登場した妹が運転手付きの車でやってくるのも、まるで海外のお金持ちみたいで、日本ではなかなかなさそうな描写だ。

観ていてどうしても引っかかるのは、この映画の作り手側がファンタジーのつもりなのか、リアリティのある良い話のつもりなのかがよくわからないところだ。
田中泯のホームレスの表現などはファンタジックと言えなくもないが、主人公、平山の生活描写は細やかだし、どっちつかずな印象。
あんな生き方はそうそうできないけれど素敵だよねという提示なのであれば「そうだね」という感じ。
2025/01/04(土) 記事URL