買い物に出かけた帰り、歩道の真ん中で仁王立ちしているおじさんに遭遇した。マスクをせず、ニヤニヤしていた。
昼間、大きな通りの歩道で、おじさんの前には私以外にも歩行者がいた。
私はその道を通らない選択肢はなかったので、そのままスタスタ歩き、おじさんのすぐ横を通り過ぎた。
おじさんは笑みを浮かべたまま、ちらりと私を見た。もしかしたら何か言ったかもしれないけれど、私はイヤホンで音楽を聴いていたからわからなかった。

私はそのおじさんの孤独や焦燥や、私には考えもよらない苦しみやなんかに付き合うことはできない。かける言葉もなかった。ほかの人はどうしただろうとも思ったけれど、振り返らなかった。
私と知らない誰かの間には絆もつながりもない。
外の世界とのつながりの限界が目に見えたような気がして、ひととき孤独が深まった。でも、たぶんこの騒ぎの前からそうだった。
2020/04/17(金) 記事URL