『ボージャック・ホースマン』を見終えた。
人生は素晴らしいもの、人は成長するものという前提に立たず、大人になってから起こり得るありとあらゆるいやなことを登場人物たちと一緒に苦しまなければならないようなお話だったのだけど、それでも続くのが人生だということをユーモアとともに描いた、すごいアニメだったと思う。

観ている間、ときどき人にも薦めたけれど、その面白さがいまいち説明しきれないことにずっともやもやしていた。でも、最後まで観てなんとなく考えたのは、私はたぶん、人生を前向きに生きる、成長する人たちに疲れているというか、飽きていたのかもしれないということだ。だって、今の年齢になって、例えば高校二年生の女の子が主人公のアニメに自分を投影はできない。どんな成長物語ももはやおとぎ話のように遠いもののように感じる時がある。

ボージャック・ホースマンは五十代のハリウッドセレブだから、それはそれで私からは遠いけれど、彼やその周囲の人たちが直面することの生々しさたるや。
家族との不和や自分の能力に向き合うこと、かつての失敗、別れた恋人。亡くした人。取り戻せない友情。挙げるときりがない。
でも、観てるとなぜか気持ちが楽になる。共感ではなく、苦しくて普通だと改めて気が付くというかんじだ。だからそのまま進むだけだという遠回しな肯定。

特にダイアンが大好きだった。
そのうち語り合える人が現れるといいな。

2020/02/01(土) 記事URL