Aが亡くなって10年だそうだ。そういえば、私は大体10年前に実家を出てひとりで暮らす家を探していて、外出中に父から連絡をもらったのだった。

人の死は埋まらない。こうやって思い返すとき、ドラゴンボールの戦闘シーンみたいに、お腹に大きな穴が空いたままのように思うことがある。その代わり自分にもともと空いていた穴は年々うやむやになっていくが、どちらにせよ穴とやっていくしかない。

私の元の穴をぼかすかたちで、彼らは彼らの方法で私を助けてくれる。私の勝手な思いではあるが。
2022/03/03(木) 記事URL