ときどき、電車に乗るときに、目指す駅に着くまでにこの車内で殺されるかもしれないと思う。だから何をするというわけではないが、刺されるか、殴られるかもしれないと思う。すぐに忘れるけれど。

高校生のときは痴漢に遭うかもしれないと思っていたし、街を歩くときは会社員風の男に「いくらですか?」と声をかけられるかもしれないと思っていた。
だから何をするというわけでもなかったが。

いつでも、知らない男が声をかけてくるかもしれない。そうしたら、怯まず無視を決め込まなければならない。通りすがりにどんなに酷い捨て台詞を残されるとしても。

不動産屋が男だった場合はとりわけいろいろなことに気をつけなければならない。彼らは私の個人情報のほとんどを握ることになるから。
どこへ内見に行く時も、すぐにスマートフォンで証拠を残したり、助けを求めたりできるように気をつけて、親しみを持たれないように振る舞う。

何においても何かのサービスで私の担当をしている人が私の下の名前にさんをつけて私を呼ぶときは要注意だ。私は相手にわかるように、でも憎まれない態度で自分達は他人だと示さねばならない。
あるいはもう、その会社に訴えるしかない。私を下の名前で呼ぶのは友人や家族だけですと。

めんどうくさい。
2022/02/09(水) 記事URL