改めて写真集のかたちでまとまった作品群を見ると、私はいつも、実際には見たことも住んだこともない場所に懐かしさを感じていることがわかる。

その懐かしさは温度やにおいや陽の光を思い出す感じに近くて、郷愁とは違う。
アスパラガスの味とか、裸足でフローリングを歩くとか、瘡蓋が剥けるとか、そういうものだ。

そんな景色の中にいる片山真理ちゃんはとても強くて揺るぎない。
その強さに、私はたまに気後れしてしまうが、弱さあっての強さだということはもちろんわかっているから、私もそういう風でありたいと、結構痛みを感じながらページをめくっている。

私たちは常に変わっていくけれど、ずっと同じだ。
2019/07/02(火) 記事URL