昨日の夜は、おいしいものを食べたけれど写真を撮らなかった。

出会ったばかりの人と、知ったばかりのお店。覚えたばかりの電車に乗って、住み始めたばかりの部屋へ帰る。
深夜の表通りは雨に濡れて暗く光っていた。ちょっと寒いくらい冷たい夜気に雨のにおいが混ざって、重たくなっていた瞼が少しだけすっきりと持ち上がる。

お酒が入るにつれて不思議な気持ちになって、自分が流されたり選んだりしてきた結果としてその場にいることが少し恐ろしいくらいだった。自分はどうしてここに来て、これからどこに行くのだろうと考えかけたけれど、余計に怖くなるのでやめた。
少し懐かしいような、これまでに味わったことのないような、さみしいような気持ちだった。

地下鉄の駅のホームに消えていく友達が、たくさん手を振ってくれてうれしかった。
2016/09/22(木) 記事URL